文献詳細
文献概要
特集 腫瘍と免疫
悪性腫瘍患者の遷延免疫反応とその亢進
著者: 大川公康1
所属機関: 1日本医科大学産婦人科学教室
ページ範囲:P.1025 - P.1030
文献購入ページに移動 がんは生体のG-V—H反応によつて破壊されると考えられる。これにはリンパ球が主役をなしていることが漸次明かになつてきた。しかし未だ不明な部分が多い。なぜがんは個体の中で生長し,大きくなり宿主を破壊するのであろうか,試験管内実験では,がん細胞は免疫細胞(リンパ球)によつて破壊されるが生体の中では生長しつづけて宿主を破壊する。この理由の1つにがん細胞を破壊するリンパ球(免疫細胞)が少なすぎるからであろうか。生体の中ではリンパ球がなんらかの影響によつてがん細胞を破壊する能力が下つたためかまたは腫瘍細胞よりリンパ球の抑制物質が発生するのか,リンパ球そのものの機能低下がおこるか,この中のいずれかが同時に生ずるのかもしれない。またマクロファージの機能が低下するためか,また腫瘍細胞はblocking factorを有してこれを放出するのでこれによつてリンパ球の機能が低下するとも考えられている。
がんの原因,診断法,治療法の研究は広範囲に行なわれているが未解決の問題が多く,治療法も確立されていない。早期発見,早期治療が叫ばれているがすべての例に可能なわけではない。生体はがん細胞に対してなんらの反応も示さないであろうか,手術後がん細胞が1つでも残存すると再発するであろうか,また一方がんの自然治癒や,進行がんの治療後再発がない例がある。
がんの原因,診断法,治療法の研究は広範囲に行なわれているが未解決の問題が多く,治療法も確立されていない。早期発見,早期治療が叫ばれているがすべての例に可能なわけではない。生体はがん細胞に対してなんらの反応も示さないであろうか,手術後がん細胞が1つでも残存すると再発するであろうか,また一方がんの自然治癒や,進行がんの治療後再発がない例がある。
掲載誌情報