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特集 腫瘍と免疫
文献概要
移植免疫(transplantation immunity)という観点から絨毛性腫瘍を考察すると,trophoblastは宿主である患者にとつて同種移植片(allograft)であると考えられる。移植免疫においては,移植片と宿主との組織適合性抗原(HistocompatibilityAntigen,移植抗原と同義語)が適合していれば移植片は生着(take)し,不適合であれば移植片は拒絶(reject)される。拒絶現象の強弱はMajorHistocompatibility Antigenに支配される。ヒトのMajor Histocompatibility Antigenとしては, ①ABO式赤血球型抗原 ②HL-A系の2つが考えられている。trophoblastの有する抗原としては, ①父親由来の組織適合性抗原 (Paternal Histocompatibility Antigens) ②母親由来の組織適合性抗原 (Maternal Histocompatibility Antigens)がある。自然の驚異的な移植成功例といわれる妊娠現象から発展した絨毛性腫瘍に対して,移植免疫の原則が単純に当てはまるわけではないが,trophoblastと宿主との間の組織適合性(Histocom—patibility)は,絨毛性腫瘍の発症と予後に対して重要な鍵を握つていると考えられる1)。
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