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巻頭論文
動物における絨毛上皮腫
著者: 相馬広明1
所属機関: 1東京医科大学産婦人科教室
ページ範囲:P.277 - P.283
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ヒト胎盤のトロフォブラスト細胞から絨毛上皮腫が発生するとすれば,当然ヒト以外の哺乳動物の胎盤のトロフォブラスト細胞からも絨毛上皮腫が発生してもよさそうである。しかし哺乳動物においては,絨腫が自然発生をしたという報告はきわめて少ない。これは野生動物であれば腫瘍発生を観察することが難しく,またこれをたしかめることができないことに由来するのか,それともヒトと異なる胎盤構造の相違が絨腫発生を稀なものとしているのか,その理由は判然としないが,僅かでもこれまで発生報告があることは,妊娠動物に絨腫発がんの可能性があることを示すものであるし,仔細に観察すればそれを発見できるチャンスも含まれていると考えたい。
さらにこれまでヒト以外の妊娠動物に実験的に絨腫発がんを起こさせる試みがいろいろとなされてきているが,なかなか成功しなかつた。そのためヒト絨腫をハムスターの頬袋に移植することが用いられている。しかし,もしも動物に実験的に絨腫誘発ができるならば,本腫瘍の研究範囲が広まると考える。この点についても多くの努力がなされている。本論文ではこのような動物にみられる絨腫あるいは実験的絨腫誘発についての紹介をすることによつて,今後のこの方面からの本腫瘍へのアプローチが展開することを願うものである。
ヒト胎盤のトロフォブラスト細胞から絨毛上皮腫が発生するとすれば,当然ヒト以外の哺乳動物の胎盤のトロフォブラスト細胞からも絨毛上皮腫が発生してもよさそうである。しかし哺乳動物においては,絨腫が自然発生をしたという報告はきわめて少ない。これは野生動物であれば腫瘍発生を観察することが難しく,またこれをたしかめることができないことに由来するのか,それともヒトと異なる胎盤構造の相違が絨腫発生を稀なものとしているのか,その理由は判然としないが,僅かでもこれまで発生報告があることは,妊娠動物に絨腫発がんの可能性があることを示すものであるし,仔細に観察すればそれを発見できるチャンスも含まれていると考えたい。
さらにこれまでヒト以外の妊娠動物に実験的に絨腫発がんを起こさせる試みがいろいろとなされてきているが,なかなか成功しなかつた。そのためヒト絨腫をハムスターの頬袋に移植することが用いられている。しかし,もしも動物に実験的に絨腫誘発ができるならば,本腫瘍の研究範囲が広まると考える。この点についても多くの努力がなされている。本論文ではこのような動物にみられる絨腫あるいは実験的絨腫誘発についての紹介をすることによつて,今後のこの方面からの本腫瘍へのアプローチが展開することを願うものである。
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