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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻10号

1974年10月発行

文献概要

総合講座 産婦人科と腎機能

腎機能検査法とその意義

著者: 阿部裕1 浦壁重治1 折田義正1 福原吉典1

所属機関: 1大阪大学医学部第1内科学教室

ページ範囲:P.667 - P.672

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 腎機能という一つの言葉で表現されるものの中には,腎循環に関する機能,糸球体の限外濾過特性,尿細管各部の諸機能と,これを生体の側からみた血清電解質濃度,酸塩基平衡などが含まれる。腎血流量,糸球体濾過値,尿細管の再吸収あるいは排泄極量,尿濃縮力,稀釈力はそれぞれ解剖学的にみたネフロン各部位の機能を量的に表現したものである。一方,尿蛋白の漏出およびそのパターンの変化は糸球体の限外濾過特性に関連した量的あるいは質的異常を表わしている。また血清電解質濃度,酸塩基平衡は腎が生体の平衡維持に対してはたす生理的機能,すなわち上述の各機能が総合化されたものとしてとらえることができる。
 これら各種の腎機能を総合的に把握,患者の病態,予後を的確に判断し治療方針を決定することが重要であることはいうまでもない。それにはこれらの検査法の原理を充分ふまえた上で,腎障害の程度に従つての正当な検査法の選択を行なうことがまず必要である。さらに実施手技上の問題点からひきおこされる検査成績上の誤差範囲も知つて,臨床的,理論的有効数字を確認することが重要となる。たとえばPSP 15分値が40%の場合と35%の場合とを比較すると,この2者の間には臨床上有意義の差があるとは考えられず,治療方針に影響を与えるものではない。しかしPSP 15分値が35%から25%に低下した場合には,たとえ誤差を考慮にいれても臨床的には有意義な差が生じたと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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