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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻10号

1974年10月発行

文献概要

臨床メモ

授乳と飲酒

著者: 竹内久弥1

所属機関: 1順天堂大学産婦人科

ページ範囲:P.705 - P.705

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 授乳期間中のアルコール摂取が全く禁忌でないことは常識的に知られているが,どの程度なら大丈夫なのか,その根拠は明らかでなかつた。フィンランド・ヘルシンキ大のY.A.Kesäniemi (J.Obstet.Brit.Cwlth.81,84,1974)は志願者を募り,一定量のエタノールを経口摂取させて母乳中に分泌されるエタノールとアセトアルデヒドを測定した結果を報告している。
 産褥4日から41日までの12人を対象とし,体重1kgあたり0.6gのエタノールの15%水溶液を5分間以内に飲ませ,30,60,90,120分後に母乳と静脈血(肘静脈より採血)内のエタノールならびにアセトアルデヒドの濃度を測定した。その結果,エタノールはどの時間でも母乳中濃度が静脈血中濃度とほぼ等しく,たとえば120分後では母乳中に11.3±2.6μmoles/ml.mlikであるのに対し,静脈血中では12.4±2.4μmoles/ml.bloodであつた。一方,アセトアルデヒドは母乳中には排泄されず,静脈血中に90μmoles/mlも検出される高濃度でも母乳中には検出できなかつた。また,産褥日数による差もない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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