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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻2号

1974年02月発行

指標

性病の現況と未来

著者: 水間圭祐1

所属機関: 1日本大学医学部性病学教室

ページ範囲:P.93 - P.102

文献概要

 性病の病原微生物は衆知の通り,Treponemapallidum (スピロヘータ属)(以下TPと略)Neisseria gonorrhoeae (双球菌)(以下NGと略),Hemophilus ducreyi,およびMiyagawanella lym—phogranulomatosisと4種で形態的にも全く異るとともに,それぞれ特異的な性格をもつている微生物である。近年,感染症全体は,社会環境の変化,治療医学における種々な抗生物質の開発により,その様相が大きく変貌をとげてきたことは多くの報告に見られるとおりである。このように変化した生態圏の中での感染のメカニズムをより深く追求することと,それによつて人類の蒙る種々な影響を疫学的に研究することは今日なお大きな意義をもつものといわなければならない。
 性病が直接個人の生命に危険を及ぼす疾患ではなく,社会的疾患のために現在世界各国の性病対策は治療よりは予防に,医学よりは行政に重点がおかれている傾向が強い。一面それぞれの国により程度の差こそあれ,性病患者が背徳的行為者としてみられることは各国に共通しており,それが純医学的な立場からの治療,予防を困難にしている事実も無視できない点でもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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