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性器癌の集団検診—現況と問題点
著者: 野田起一郎1
所属機関: 1東北大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.185 - P.193
文献購入ページに移動 癌の的確な予防法がない現在では,早期発見,早期治療がその治癒成績をあげる近道であることはいうまでもない。集団検診は一見健常者のなかから無自覚,無症状の早期癌を発見するための積極的な手段である。無症状の癌の発見のためには必ずしも集団検診によらなければならないわけではなく,自発的な健康診断を定期的に行なうことができればよいのであるが,現時点ではこのような人はきわめて少ない。したがつて,啓蒙の意味を含めて集団検診の果たす役割は現時点でははなはだ大きい。しかしながら,癌の集団検診を行なうためには,その臓器の早期癌に対して能率的でしかも正確な篩別法をわれわれが持つていることが必要である。そしてまた,この集団検診を社会的癌対策としての立場から考えるときは,その臓器の癌がある程度以上の発生頻度をもつていることも一つの条件となろう。このような観点から考えると婦人科領域の悪性腫瘍では子宮頸癌がその条件を充たしているのでこれに対する集団検診が本邦においても十数年前から試みられており,着々とその成果をあげつつある。その他の性器癌も殊に子宮体癌,卵巣癌など近年その頻度が増加しつつあるといわれ,これらの癌に対する集団検診についても検討の要があるが,今後の問題に属するので,今回は主として子宮頸癌の集団検診について,その現状とこれを推進する上での2〜3の問題点について述べたい。
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