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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻4号

1974年04月発行

カラーグラフ 臨床家のための病理学・25

卵巣の疾患・Ⅱ

著者: 滝一郎1

所属機関: 1九州大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.262 - P.263

文献概要

 卵巣には諸種の嚢胞,すなわち卵胞嚢胞,黄体嚢腫,ルテイン嚢胞(図3,4)多嚢胞卵巣などを生ずるが,その多くは卵巣周期における卵胞の発育異常によるもので,原因としては内分泌変調が重きをなしていると推定されるが,不明な点も多い。
 卵巣周期中の最重要な現象である排卵は,成熟した卵胞の破裂によつて起こるが,多少の出血をともなうものである。排卵後の卵胞の内腔は血液で満され破裂口は凝血で封鎖され,血体,corpus hemor—rhagicumあるいは赤体,corpus rubrumとなり,卵巣表面に突出する。卵胞壁の内夾膜細胞と顆粒膜細胞は急速に増殖し始め,黄体細胞が生じ,次第に黄体が形成される。中心の凝血は,顆粒膜層を貫通して入りこんでくる毛細血管,結合織細胞の働きにより,液化,吸収,組織化の運命を辿る。完成した黄体が中心に液を容れた嚢胞となると黄体嚢胞と呼ばれることがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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