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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻4号

1974年04月発行

指標

ホルモンレセプターの役割とその臨床的意義

著者: 加藤順三1

所属機関: 1帝京大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.265 - P.273

文献概要

 1968年以降ステロイドホルモン・レセプターが細胞質および核より次つぎに分離・同定され,ホルモン作用上レセプターとの結合が必須であることが分かつてきた。そして,ステロイドホルモンは標的細胞の細胞質レセプターと結合して,ホルモン・レセプター複合体が形成され,この複合体は温度依存性過程で変換されたのちに,核に侵入して,核レセプター複合体が形成される。これかクロマチンの"acccptor"と結合して,遺伝子が活性化され,ホルモン効果が発現するという統一的作用機構が一般的に認められている。これと異なつて,peptide hormoneでは細胞膜に局在するいまだ分離されていない"レセプター"との結合が初期反応で,cyclicAMPが第二メッセンヂァーとして働き,ホルモン効果が惹起されるといわれている。
 ところで,ホルモン・レセプターの問題は,基礎的なもので,臨床とはあまり関係がないものと考えられてきていたが,近来,その臨床的意義が増しつつあるものと考えられる。いまだ情報は断片的なものであるが,ホルモン測定への応用,排卵誘発剤の誘発メカニズムや,睾丸性女性化症候群発生メカニズムにおけるレセプターの役割,乳癌や子宮癌におけるレセプター含有量によるホルモン感受性よりみた治療法の選択などの面での臨床との関連性が具体化している。今後ますますその重要性がますものと思われ,系統的検索が望まれる次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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