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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻4号

1974年04月発行

総合講座 産婦人科と脳

妊産婦の高血圧性脳症

著者: 室岡一1 野原士郎1 町田利正1 鯉江芳行1

所属機関: 1日本医科大学産婦人科

ページ範囲:P.299 - P.302

文献概要

I.高血圧性脳症
 高血圧性脳症(hypertensive encephalopathy)とは内科,精神科方面で使われている言葉で,Oppenheimer&Fishberg (1928)の提唱による。当初の定義は「高血圧の結果として起こる,一過性の脳機能障害」をいつていたが,その後さらに広範囲のものも含まれるようになり,現在では「脳に器質的傷害を遺す脳血管性発作(Cerebrovascular stroke)を除いた高血圧性の脳疾患のほとんど総てを含める」意味に用いられている。したがつてその概念としては「重症高血圧症,急性または慢性腎炎,子癇などにみられる急性または亜急性の神経疾患で,頭痛,悪心,嘔吐,昏迷,けいれん,昏睡などの一定の神経症状を示す一過性の脳機能障害であり剖検上,脳には変化を見ないか,また見る場合には最も著明な変化は脳浮腫である。」と記載されている。これによつても分るように子癇は高血圧性脳症という概念の中に含まれているのである。すなわち妊産婦が晩期妊娠中毒症にかかり,血圧が上昇し,腎機能が低下して脳血管攣縮,脳乏血を起こすと子癇としての症状が現われてくる。妊産婦にみる高血圧性脳症はこれなのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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