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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科28巻7号

1974年08月発行

総合講座 産婦人科と肝機能

妊娠と肝機能

著者: 百瀬和夫1 大村剛1 岡田研吉1 岡本善隆2 森本敬三2

所属機関: 1東邦大学医学部産科婦人科学教室 2都立荏原病院産婦人科

ページ範囲:P.529 - P.534

文献概要

 肝臓の機能はきわめて複雑で,今日の多数の臨床検査法をもつてしても,その一端をうかがい知るにすぎない。妊娠にともなう物質代謝の昂進,とくに"ホルモン漬"と表現されるような高い値,第2の肝ともいえる胎盤の存在は,妊娠時肝機能の解明を著しく困難にしている。妊娠末期においては肝の機能は最大限に近く発揮され,ようやくバランスがとれているのではなかろうか?いくつかの検査法でその測定値が正常の上限に近く,あるいはしばしばこれを越えていることからもうかがえよう。わずかな負担,たとえば貧血,栄養障害,高血圧,薬物中毒,感染などにより肝機能—代謝の平衡は破れ,急激な崩壊に至る可能性がある。
 妊娠は生理的現象の一部に加えられているが,ここには病的状態への急速な移行の危険性が常に存在することを忘れてはならない。全く健康と思われていた妊婦が数日の経過のうちに母児とも非命の道をたどることはしばしば経験されるところである。以下,妊娠時における肝機能および黄疸について,近年の知見をまとめてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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