文献詳細
年間テーマ--診断から治療へ 性徴の異常
文献概要
太古にヒトの生活が獣と同じく食を求めて生きてゆくことが全生活であつた時期には,Sexは交尾期をもつた高等動物と同じ,生れてくる子どもの生存に適した季節に産むという季婚的なものであり,性欲動は内因的な要素によるものであつた。この時代人類にとつて生と死とは神秘的な,不可知な,絶対なる存在の支配するものであつたが,女性のうちに生む,種の創造という牝的なシンボルを既に見出していたことは旧石器時代の遺跡,洞窟の絵画(動物的な後背位よりする性交図,性器を表わすYなる図形)よりも知れる。長い氷河時代が去り洞窟から出て草原に,河岸に,海辺に群属し村落を作つた人問は人類学者が人間の原型にホモ・サピエンス(知的人問),ホモ・ファベル(労働人間)と名づけた根拠をこの時代に極大に発揮して今日の文化,社会の基を開いた。死の恐怖,生の欲求は知恵(大脳),道具(手関節),言葉(声帯)を用いて農耕,狩猟,漁掛と食物の生産手段,備蓄と経済生活を一変せしめ,四季の変化に順応して生存を確立していつた。
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