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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科29巻4号

1975年04月発行

文献概要

年間テーマ--診断から治療へ 体温の異常

術後感染症と発熱

著者: 杉本修1 市川文雄1 高山保守1 仮野隆司1 佐野隆1

所属機関: 1大阪医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.261 - P.265

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 体温の異常上昇,すなわち発熱は発熱物質(pyrogen)が体温調節中枢(視床前野および前視床下部領域)に作用して,そのsetting pointが高い位置に移動したために起こつてくると考えられている(吉利1973,中山1973)。術後の発熱は感染症の併発を知る最初の手がかりとして重視せねばならないが,体液喪失による脱水状態,広汎な手術野の損傷,壊死組織の融解吸収,輸血の副作用,内分泌代謝の急性失調などの無菌状態においても発生する場合があることを忘れるわけにはいかない。また感染が推測できても,それが手術あるいは麻酔操作に直接関係ある領域に起こつたものか,術後衰弱に乗じて偶発したものかについて慎重な検討が必要である。
 最近では皮膚や器械の消毒法が完備し,術中術後の管理が組織化され,かつ予防的化学療法が十分行われるようになつてきているので,術後感染症の発生そのものが減少してきており,熱発の時期的推移や熱型から病態を推測することははなはだむつかしくなつてきている。しかしながら,発熱は感染症の発生や経過を追跡するうえにもつとも重要な指標になることは依然として変りない。術後の発熱患者に遭遇した場合,いかにしてその原因を探りだし,対策を構じればよいか簡単に述べたいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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