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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科29巻5号

1975年05月発行

文献概要

年間テーマ--診断から治療へ 妊娠成立の異常

頸管粘液の異常の診断から治療へ—特に精子適合について

著者: 香山浩二1

所属機関: 1兵庫医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.373 - P.379

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I.生殖過程での頸管粘液の役割
 頸管粘液(CM)がsex hormoneの周期性変化に伴つて周期的に性状変化を来たし,排卵前のcstrogen増加に一致して分泌量が増加し,水様性透明となつて来ることは周知のことである。このCMの周期的な変化を検査することによつて,卵胞成熟の度合を想定したり,排卵時期の決定に利用することは日常の臨床に最も良く利用されているところであるが,今回はsex hormoneとCMとの関係には余り重点を置かないで,正常性周期婦人における排卵前CMについてその精子との適合性について述べる。
 ウマ,ブタなどの子宮腔内に直接射精される種属と違つて人間では自然の夫婦生活においては腟内に射精されるわけであり,この腟内精子が頸管,子宮腔を通つて受精の場である卵管膨大部まで到達し成熟卵と受精するわけであるが,卵は排卵後数時問しか正常な受精能力を有しない。したがつて腟内精子が最初に通過しなければならないCMの生殖過程における役割は非常に重大であると考えなければならない。まずCMの最も重要な機能として精子と適合性を示し,腟内精子を子宮腔内に受精能力を保持した状態で移送するという機能が要求される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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