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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科29巻7号

1975年07月発行

トピックス

婦人のPheromone (性誘導物質)

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学産婦人科

ページ範囲:P.516 - P.516

文献概要

 昆虫やある種の動物では,雌の腔や尿より分泌され,雄の嗅覚を刺激して性活動を亢進する化学的メッセンジャーとして,pheromone, sexattractants (性誘導物質)の役割が重要視され,生殖生理学の純学理的立場や行動学の立場から,また人間にとつて有害な昆虫や動物の駆除への応用など,近年とみに注目されてきている。
 その応用範囲も霊長類におよび,サルの両側卵巣摘除後にestrogenを投与すると,腟分泌中に"copulin"という雄の騎乗・射精などの性行動を刺激する物質が分泌される。この時,雄サルの嗅覚の作用を抑制すると,性行動も消失することより,嗅覚・大脳中枢が大きな役割をしていることになる1)。そこでこのサルの腟分泌物をタンポンにて集め,エーテルで抽出し,1/100規定のカセイソーダーで洗滌し,アルカリ層をエーテルで再抽出するとこの部分に存在し,これをgas chromatograpyhにかけると,脂肪酸の部分に性誘導作用があることが判明した。この抽出物を去勢サルの腟周辺に塗布すると,雄の性活動を亢進させ,すでに合成されている酢酸,ピロピオン酸,イソブチル酸,n—ブチル酸,イソワレリン酸などの低分子の脂肪酸と混合し腟周辺に塗布すると同様に雄の性活動を亢進することが明らかにされた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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