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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科3巻12号

1949年12月発行

雑誌目次

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手術不能頸癌に對するコツト・クレーニッヒ氏手術と照射との併用療法

著者: 山田鋼治

ページ範囲:P.458 - P.473

 子宮癌の治療法は手術及び照射とも著しく進歩したが,反面に種々の原因によつて治療の時期を失せる患者,又は適切な療法を受け乍ら再發によつて絶望的な状態に陷つてゆく患者が,全治者よりも遙に多いことは悲しむべき事實である.これ等患者の三大徴候である出血,疼痛,及び帶下は,患者は勿論のこと治療に當る醫師及び看護人にとつて實に容易ならぬ負擔である.出血は血液及び全身所見の惡化を招來するのみでなく精神的にも一大衝動を與え,疾病治療に對する光明を奪い豫後を更に惡化し,疼痛は不眠の原因となり病感を強化し,氣力の脱失を來たし,帶下は體液の消粍と惡臭による食思減退を招來し全身障碍の一因をなすものである.當教室に於ては手術不能晩期頸癌患者に對し,照射療法の他に疼痛に對する上部下腹神經叢切除術(Cotte氏手術—以下コ氏手術と略記す),出血及び帶下に對する子宮輸入血管結紮術(Kronig氏手術—以下ク氏手術と略記す)を併用している.その成績の一部は既に昭和18年と19年とに當教室員谷(勝生)によつて簡單に報告されている.

妊娠と糖尿病

著者: 冨澤幸夫

ページ範囲:P.473 - P.478

1 はしがき
 第2回分娩後恐らく糖尿病のため16年間不妊であつた婦人が,Insulin—療法により輕快後妊娠し,衰弱に加うるに網膜炎惡化の爲人工中絶の已むなきに至つた1例の臨床經過を,内科及び眼科と協力して比較的詳細に觀察し得たので,その大要を記述し,關係事項につき文献的考察を行うことゝする.

新生兒に觀たる殆んど全身を被う兒斑について

著者: 安武豊志男

ページ範囲:P.478 - P.484

緒言
 日本人小兒の仙骨尾閭骨部臀部其の他全身各部分に渉り或は胎生時又は生後に發生する皮膚の青色斑紋を詳細に研究したのはBälz (1885)を以て嚆矢とする.Bälzは更に日本人と白人の混血兒にも之を證明し(1900)更に此の青色斑が蒙古人種に特有なものと考え蒙古斑(1901)と命名し人種的象徴とした.足立(1903)は之が猿猴類との比較解剖學的立場から眞皮の深層に於ける色素細胞に由來する事を明かにし此の兒斑が黄色人種に特有なものに非ずして白人種にも亦存する事を藤澤と共に(1903)發見したが其の後之に關する研究相踵ぎ,研究者による命名も區々でPigment—fleck (Grimm) Kreuzfleck (足立)日本小兒固有の母斑(芳賀) Kinderfleck (加藤).初生兒尾閭骨部青斑(山極)初生兒青色斑(土肥)新生兒青色斑(皆見)等と呼ばれ本邦では古く"スレ"(賀川有齋)小兒腰青痕(大牧周西)尾の痣(山田久尾)鬼斑又は鬼捻斑とも云われ印度の梵語醫典Susruta及びNidana中にはtilakala (dunkele Muttermale)及びnikala (dunkle Flecken im Gesicht od.am Korper)とあり俗間種々の傳説的迷信をもつて流行している.

人工流産掻爬手術のむずかしさ

著者: 藤井久四郞

ページ範囲:P.484 - P.484

 この手術は最も簡單なものゝ一つであるがやればやるほど變化があつてむずかしい手術でもあると思う。私の見た聞いたり經驗したりした2,3の點を拾つてみよう。
 ヘガール杆による頸管擴張の場合一般に初妊婦では組織がやわらかくて案外開き易いことが多いが,經産婦では瘢痕のために組織が硬くて開きにくいことが少くない。經産婦だからと思つて安心してヘガールの順序をおわずにいきなり大きいのを挿入したゝめに出血の強い頸管裂傷を生じ,開腹して子宮剔出を行う必要にせまられた話もきいた。やはり面倒な様でもヘガールの番號通りに開いて行く方が安全である。頸管裂傷が出血を伴つても鉗子で頸管側部一體をはさむことによつて止血し,翌日掻爬を事なくすまし得た經驗談もきいた。

アブレル氏法に依り娩出せる胎兒竝に同附屬物の病變に就て

著者: 國見壽彦

ページ範囲:P.485 - P.490

1 まえがき
 最近盛んに人工妊娠中絶に用いられるアブレル氏法の分娩機轉は尚不明で,且つ娩出した胎兒には死産例極めて多く,然もその死因は不明である.殊に胎兒死亡の原因を明らかにすれば,生兒を得る目的の分娩誘導にも應用出來る様,この簡單確實なアブレル氏原法を改良出來るかも知れない.それ故に私はこれ等の疑問を解く一助ともなさんとして胎兒竝に同附屬物の病理解剖學的研究を行つているのであるが,現在迄行つた11例に就いての總括的所見を述べ度いと思う.

臍帶眞結節

著者: 今井允

ページ範囲:P.490 - P.491

緒言
 臍帯眞結節は比較的稀有なるものと考えられ,其頻度に關してはItzkin 0.2-0.5%,Sellheim 0.4-0.5%,新井0.14%,土井0.15%と報告され,其他の諸氏も略之と一致した頻度を報告している.之等の他に,症例報告として多數の文献が見られるが,何れも單純結節1個を認めた例に限られている.複雜結節の存在に關してはHallan—Seitz,H.Sellheim等の記載を見ることが出來るが,單胎に於ける複雜織節例は極めて稀なるものゝ如く,症例報告は殆ど之を見ず,予の調べたるものにては僅かにD'Elia,Osralaoの二重結節の1例,久保田環の二重結節の1例を見たのみにすぎない.余の經驗せる1例は單純結節1個の他に,久保田の報告と同様なる八字結節1個を合併せるもので,眞に稀有なるものと考えられる.

著明な胸水と腹水を伴った卵巣未分化細胞腫

著者: 片山壽 ,   中島等

ページ範囲:P.492 - P.495

緒言
 充實性卵巣腫瘍の中で顆粒膜細胞腫,Aureheno—binstomと共にDisgerminoma ovariiは特殊な一部門を占めている.Disgerminoma ovariiは1930年R.Meyerたより命名され,その以前には種々の名稱によつて報告されている.例えばAlveol—arsarkom,grofszellges Rundzellensarkom,Se—minom等である.本邦では昭和10年に安藤教授によつて未分化細胞腫と譯され,この譯名が一般に用いられている.
 扨本腫瘍は本邦に於ても昭和9年近畿總會で西村・鈴木雨氏により剖檢例が發表されて以來多數報告され現在迄に約60例に達しているから,恐らく左程稀なものでないと想像される.

海外のうごき

ページ範囲:P.496 - P.497

手術不能な乳癌のホルモン療法
 乳癌や前立腺癌へのホルモン療法が近頃やかましくいわれるがF.Linder(chirurg.,1948,19:500)は次のように述べている.すなわち乳癌に對しては男性ホルモンが有効であるが,それは單發巣に對してゞはなくて,轉移をふせぎ,疼痛を輕くするように數ヵ月間は有効である.そして組織的によく分化した癌である場合に最も効果がある.anapla—stic typeの癌ではホルモン療法は殆ど全く効果を望めない.又肉腫のようなmeseinchymに由來する惡性腫瘍ではホルモンの効果は全くないものである.要するに乳癌でも對症的に多少の効果が見られるが治癒的には作用することはない.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

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