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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科3巻5号

1949年05月発行

雑誌目次

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サルファ劑に關する2・3の知見

著者: 赤須文男 ,   河原節

ページ範囲:P.168 - P.173

Ⅰ,サルファ劑の局所的應用
 サルファ劑が微生物に依つて惹起される各種の疾病に對して經口的に或いは注射に依つて卓効を示す事實は,必然的にサルファ劑を局所的に應用させた.我國でズルフォンアミド劑を使い始めた頃の我領域に於けるズ劑の局所應用の報告を述べると武永氏(昭12年)はルジール錠を腟内へ挿入し,炎症性疾患に對して著効があつたと報告し,岩垣氏はテラポール軟膏の局所的應用を推奨し,佐野氏(昭13年)もアクチゾールを局所へ撒布し著効を收め,橋本,林,井坂氏等(昭15年)はトリアノン,アヂプロン,ネオポレオン等をタンポンの先へ附けて腟内へ挿入したが豫期した効果が得られなかつたと報じ,内野氏(昭16年)は急性外陰潰瘍をサルファ劑の軟膏で治癒せしめたと云う.又,大森氏は腟部靡爛にレギオン末の有効であつたのを見た.又,Haberer,Jaschke (1939年)等はプロントジールを次の如く局所に應用して著効を收めていると云う.

蛋白質とアミノ酸の生物學的並に臨床的意義

著者: 三林隆吉

ページ範囲:P.173 - P.179

 蛋白質はあらゆる生活細胞の主成分であり,生命現象も要するにこの蛋白質を主體とする混合膠質内で行われるといつてよい.
 ビタミン,ホルモン,酵素,免疫體等が生命維持,健康保持上必要である事は言うまでもないが,然しこれ等の多くも蛋白質そのものであり,あるいはその變化物であることを知つて驚く人もあろう.多くのビタミンは體内で特殊な蛋白質と結合して初めてその特異作用を發揮するものであり,インシユリンのような作用物質も蛋白質にほかならないし,甲状腺ホルモンとして周知のチロキシン,ヨードチロジンも純然たるアミノ酸であり,アドレナリンもまたアミノ酸の變化物である.更にまた尿素の分解酵素であるウレアーゼも蛋白質であり純結晶として分離されている(Sumner,1926年).1930年にはNorthropがペプシンやトリプシンのような蛋白分解酵素をすらをも純蛋白結晶としてとり出している.免疫體の如きものもまた血漿蛋白質中のγグロブリンに外ならないことは既に知る人は知つているであろう.

外陰部並に腟血腫に就て

著者: 彦坂恭之助 ,   原田輝武

ページ範囲:P.179 - P.183

緒言
 腟壁又は會陰の裂傷は分娩に際し,日常吾人の目撃する處であるが,腟壁乃至外陰部皮膚に損傷なく,粘膜下又は皮下結締織内血管の破綻によつて生ずる血腫は比較的稀である.多くは妊娠,分娩,産褥に關聯して發生するのであるが,時には外傷によつて生ずることもある.血腫が小なる時は臨床的の意義は少いが,大であつてしかも廣範圍に亘る場合は適當の處置を必要とし,稀ではあるが最惡の場合は死の轉機をとることすらあると云われる.
 外陰部並に腟血腫の最初の報告はReuff (1544),本邦では前田(1906)であつて,詳細に之を記載したのはDeneux (1830)である.

翻花癌に酷似せる子宮腟部結核の1例

著者: 柿本亮賢

ページ範囲:P.183 - P.184

 女性性器結核に就ての報告はJ.B.Morgagni(1779)の14歳の處女解剖報告例がその嚆矢で,その後本疾患に就て幾多報告あり,腟部結核に就ても100例餘の報告あり,著者も又最近子宮腟部結核で翻花癌に餘りにも酷似せる1例を經驗し茲に追加報告する.

新生兒赤芽細胞症

著者: 林基之

ページ範囲:P.185 - P.189

はしがき
 戰後産婦人科學及小兒科學にとつて目新しい問題は新生兒赤芽細胞症(Erythroblastosis fe—talis=E.F.と略す)が,母子間のRh因子不適合の爲に發生すると云う事實である.Rh因子發見前には,E.F.は汎發胎兒水腫(Hydrops fe—talis=H.F.)重症黄疸(Icterus gravis=I.G.)重症貧血症(Anemia neonatorum=A.N.)及び溶血性疾患(Hemolytic anemia of the new—born=H.D.N.)等各症候群の總稱であつた.本症の原因に就ては從來幾多の學説が對立して居たが,今日では上述のやうに略々Rh因子の不適合に因るものと云うことに落ついて來た.以下RH因子を中心とし主としてE.F.の發生機序,症状,治療法等に就て1940年以降の歐米文献を綜説して見たいと思う.

妊娠中の子宮腟部の形態(その2)

著者: 花岡需

ページ範囲:P.189 - P.197

第2編 妊娠中腟部に起る各種形態の成因
 第1章 子宮口唇消失形の成因.
 1)下向部の下降度.(第4表參照)
 現在前唇消失形は專ら兒頭下降の爲に起るとされているが,余の經驗では,該形は兒頭の固定深くとも必發に非るは勿論,逆に下向部が未だ高位でも現れる事がある.
 因て該形と固定度との關係を檢討せんとし内診所見より,個定度を以下の如くに分類した.なお之は下向部の"動く""動かない"には無關係である.

産褥性子宮腟部後唇血腫の1例

著者: 白松三省

ページ範囲:P.198 - P.201

 産褥時に見られる軟部産道の組織内出血,即ち血腫形成に關してはReuff (1544)が分娩時に發生した外陰部血腫を初めて報告して以來,Dauby(1924),Schulze (1924),Krause (1925),Sa hler (1925),Schmidt等の報告を見,我國に於ては明治39年前田の記載を嚆矢とし,中川・井上・土屋・竹村・小畑・藤井・岡垣・鳥海・鄭等の,外陰或いは腟に發生した血腫の報告は枚擧に遑がないが,子宮腟部血腫に關しては余の淺學たゞ木戸の報告例を擧げ得るのみ.余は最近分娩時の外傷によると思われる子宮腟部後唇に發生せる小兒頭大の血腫の,而も産褥感染の懼れある例に於て腟式子宮全剔出術を施行.術後直にペニシリン療法を行つて,非常に良好なる經過をとつた1例を經驗したので,こゝに報告する.

妊娠を合併した卵巣纎維腫の莖捻轉例について

著者: 築山功 ,   國重憲

ページ範囲:P.201 - P.203

緒言
 卵巣纎維腫は卵巣腫瘍中必らすしも稀有なるものではなく,また妊娠或は莖捻轉を合併した例は少くないがこの兩者を合併した例は本邦では先に玻座眞・徐・石津(昭15)の報告がある他あまり記載された例を見ない.最近吾々は兒頭大の卵巣纎維腫で妊娠と同時に莖捻轉を合併し,腹水を伴つた比較的興味ある症例を經驗したので報告する.

産婦人科領域に於けるアメリカ醫學の近況

著者: 加來道隆

ページ範囲:P.204 - P.206

 世界大戰のため1941年以來全く知ることの出來なかつた歐米醫學の進歩も東京では既に一昨々年秋頃から,米軍の好意で各種専門雑誌を閲覧し得る機會が與へられたので,各分科毎に夫々現況が紹介され戰後の我國醫學の研究に重大な寄與をなしてゐる.吾産婦人科領域に於ける業績も時折紹介され,無痛分娩や内分泌に關しては糸井氏や長谷川・野津氏等の詳細な綜説すら發表されてゐるが,全般に亘る展望は未だ試みられてゐない様である.僻遠の地にあつて外國文献入手の困難な筆者なぞが,アメリカ醫學の展望を試みるなどは勿論不適であることは萬々承知してゐるが,是迄苦心して入手し得た最近4,5年の文献のうちから興味あると思われるものを拾つて記述しその一助にしたいと思う.
 まづスルファミン(以下"ス")やペニシリン(以下"ペ")等による化學療法であるが,これは既に各方面から比較的詳細に紹介されているから2,3を追記して見る.

臨床講義

子宮頸癌手術に就て

著者: 安藤畫一 ,   中山博之 ,   菊地和江

ページ範囲:P.207 - P.210

1.子宮頸癌手術の特殊性
 頸癌手術は婦人科手術中最も重要である.その理由は他の手術に比し次に述ぶるが如き多くの特殊性を有してゐる爲である.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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