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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科3巻9号

1949年09月発行

雑誌目次

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岡山醫大婦人科の子宮頸癌治療成績—第8編 昭和9〜17年度治療患者1105例の持續治癒率に就て

著者: 八木日出雄 ,   橋本淸

ページ範囲:P.338 - P.341

緒言
 吾教室の子宮頸癌治療成績は,治療實施の後滿5年の經過を觀察して,持續治癒率として逐年報告して來た.今回は昭和17年度160例の成績を加えて統計1105例について報告する.統計の樣式は著者(八木)が先年提案した「子宮頸癌治療成績統計規準」によつた.

子宮癌の遠隔轉移について

著者: 小原孟

ページ範囲:P.342 - P.348

緒言
 子宮癌は早晩周圍又は遠隔臓器に蔓延するが,主として領域リンパ腺に轉移を來し遠隔轉移に遭遇することは少いものである.余は當教室に於て觀察された子宮癌の遠隔轉移10例について報告しようと思う.

ペニシリンによる岡林式廣汎性子宮癌全剔術後の感染防止に就て

著者: 加來道隆 ,   山田曅穗

ページ範囲:P.349 - P.350

緒言
 子宮癌を放射線と手術との何れによつて治療すべきかと云う根本問題は別として,我國に於けるラヂウム量やレントゲン裝置の現状からは,その永久治癒率向上の點から手術可能例は殆んど凡て手術されている事は婦人科醫の齋しく認める所であろう.而して岡本式廣汎性子宮癌全剔出例の永久治癒率が單純性全剔出例のそれに比べて高い事は既によく知られているにも拘らず,今尚之が一般化されないのは,術式の難しさよりも寧ろ術後の感染を頻發する爲と思われる.事實我々も亦從來は屡々術後の子宮傍組織炎(傍組織炎)に惱まされて來た.最近,ペニシリン(ペ)やスルフオンアミド劑(ス劑)等を使用して本感染が減少した成績も發表されてはいるが,大量使用のものが多く,而も尚,完壁なものは見當らない.余等も之等化學療法劑での感染防止法を研究し,試驗管内實驗で本感染と關係ある溶血性連鎖状球菌(溶連菌),葡萄状球菌(葡球菌),大腸菌に對する殺菌及び制菌作用を,ペ,ス劑,モノフラゾーン,マルフアニール,及び尿素に附き夫々檢索し,更にペ及びス劑と血液殺菌力との總和を見る爲,兩劑を夫々血液に混入し,溶連菌を加え,試驗管内で一定時間培養後,血液寒天平板培養で菌聚落數を算えて檢べた.

子宮癌患者の肝臟機能に就て—馬尿酸試驗法による

著者: 高橋茂

ページ範囲:P.351 - P.355

緒論
 最近米國に於て盛に用いられ我が國に於ても注目せられ始めた馬尿酸試驗法により子宮癌患者の肝臓機能を檢査し興味ある成績を得た故茲に報告する.
 惡性腫瘍の隨一たる癌腫が一局所疾患に止まらず全身の諸物質代謝の變動を來し殊に解糖作用の著明な亢進を來すことは既に認められている所であり.又肝は全身最大の重要臓器であつて糖質蛋白質其の他の物質代謝に重要な役割を演ずることを考えれば癌と肝機能の間に密接な關係のあることは誰しも考え到る所であるけれど從來之に關する研究は比較的少なく,Ptinada (1927)以來水原,加來,Eufinger,Rothermundt Wiesbader,Irsigler,戸田,近,羽田,今泉,高杉,小林等の研究があるが之等は何れも馬尿酸試驗法以外の方法を用いており,例えばアゾルビンS法,尿ミロン反應,サントニン法,ウロビリン膿試驗法等に依つている.之等の成績を綜合すると癌患者に於ては肝臓機能障碍が認められその蔓延に伴い著明になることを示し殊に小林は戰前に於て各度子宮癌患者の肝機能を比較研究している.しかし乍ら之等の成績判定は何れも數値的に示し得ない憾がある.

新生兒魔乳の研究

著者: 萩原信之

ページ範囲:P.356 - P.366

緒言
 新生兒の乳腺腫脹竝に魔乳分泌に就いては,遠く昔から觀察者の注意を惹き,Guillotによると,この摩可不思議な現象はすでに16世紀に於て注目されていた事實であると云う.魔乳の定義に就いては,文献上定説はないが,醫學知識の低かつた16世紀に於ては,新生兒が乳汁を分泌することは,眞に驚くべき不可解な現象であつて,その由來についても常時は當然解明されておらず,從つてHexenmileh,Witchesmilk (Hexen=Zaubern魔法を使うの意)等の文字を使用していることによつても,當時の不思議な現象の一つであつた事が窺われる.此の現象に就いて始めて報告をしたのはMorgagni (1735)である.次いでSteifensand (1845),Guillot,Sehlossberger(1853)が發表し,1875年v.Genserが分泌物の化學的分析竝顯微鏡像に就いて述べ,1900年Cohnは魔乳を形態學的に研究して初乳球を證明し,1902年Knoepfelmacherは母體乳腺の發育を促す刺戟と同一物質が,母體卵巣から分泌されて,胎兒乳腺にも同一刺戟を與えるのであると述べている.Halbanは1905年に,胎兒子宮内生活中に被る胎盤ホルモン作用によるものであると云い,今日のホルモン學説の基礎を暗示した.

汎發胎兒水腫に就て

著者: 林基之 ,   渡邊英二

ページ範囲:P.367 - P.369

1.はしがき
 汎發胎兒水腫の原因に就ては從來,多數の研究があり,未だ明確な解決が與えられたとは言い難いが,最近,母兒間に於けるRH因子不適合の1重要症候群である事が認められて以來,或程度迄明かになつた.余等は最近其の1例を經驗したので,以下,共の臨床經過を報告すると共に,本症の原因に關する從來の諸説を綜説する.

新産兒痙攣に就て—附 頭蓋内出血の1例

著者: 川鰭芳文

ページ範囲:P.370 - P.374

1.緒言
 新産児に於て,認められる痙攣の原因として考えられるものは種々ある.共の内最も屡々見られるものは,所謂症状性痙攣である.之は分娩時損傷により惹起される.頭蓋内血の際に認められるのが普通である.續いて,脳水腫,腦膜炎の場合が多い.又破傷風,敗血症に際しても認められる.然も假性破傷風と稱し何等の明瞭なる感染なくて,頭蓋内出血と誤診される如き症状を呈し痙攣を惹起する場合がある.更に新産見子癇,共他種々の熱性病の場合にも,新産児に痙攣を惹起する事がある.又新産兒梅毒の際に,腦膜に梅毒性變化が波及し,腦膜炎樣の症状を發現し痙攣を惹起する場合もある.更に早産兒且體重の少い薄弱兒に,過温により痙攣發現を認めた例もある.所が最近頭蓋内出血により,極めて著明なる新産兒痙攣を惹起せる1例に遭遇し且剖檢により,頭蓋内出血の詳細を知る事を得たので,此處に共症例と共に,新産兒頭蓋内出血に就き,共概要を記す.

私の經驗では

ページ範囲:P.375 - P.378

問3
 1,初妊婦の骨盤位をどう處置しますか.
 2,新生兒假死の取扱方針.

消息

ページ範囲:P.378 - P.378

◇平本 憲雄氏 廣島遞信病院産婦人科部長に就任. (9月24日附)
◇五十嵐宏一氏 仙臺遞信病院産婦人科部長に就任. ( 同  )

海外のうごき

ページ範囲:P.379 - P.381

子宮頸部に妊娠することがあるか
 Cervical Prequancyなるものは稀なもので,その存在を否定する學者もあるくらいである.頸部妊娠というのは受精卵が頸管に着床して發育し.子宮體部はこれに關係がない場合であつて,Aufeld及びAschoff (Ztschr.f.Geburtsh u.Gynzak.51:554,1904)の記載した峽部頸管妊娠isthwico-cevical pregnancyとは全く別のものである.何故かといこにこれでは前罪胎盤の特別の場合として胎盤が頸管内に向つて發育し,卵は子宮體腟内に發育するに過ぎない.
 受精卵が着床するまでの經過を考えてみよう.排卵が在るとき卵胞が破れると卵子は卵巣の表面に徐々に出て來る(Adsell and Seideustein::Proc.Soc.Exper.Biol & Med.32:931,1935).

教室便り

東京醫科齒科大學醫學部婦人科

ページ範囲:P.341 - P.341

 お茶の水驛から本郷側をみますと燒野原の中に大きな煙突のある小さなコンクリート建築の裏側が見えます。これが私共の學校です。お茶の水驛の方へ向つた附屬病院が戰災で跡方もなく燒けてしまつたからです。こゝにまがりなりにも私共の綜合病院があるとは誰も御存じないでしよう。
 元來創立以來まだ日が淺いので一般には認識が乏しいようですから一寸御紹介します。

醫療關係法の解説・4

死體解剖保存法による解剖する者の資格

ページ範囲:P.348 - P.348

 死體保存に就て終戰以來,各地に問題を起している際,解剖者の資格,保存者の責任を定める死體解剖保存法が,第5國會を通過し,6月10日附で公命された。而して同法中第2條第1項第1號の規定による認定及び死體解剖費格審査會に關する委員も左の通り委囑された。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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