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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科3巻9号

1949年09月発行

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新生兒魔乳の研究

著者: 萩原信之1

所属機関: 1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室

ページ範囲:P.356 - P.366

文献概要

緒言
 新生兒の乳腺腫脹竝に魔乳分泌に就いては,遠く昔から觀察者の注意を惹き,Guillotによると,この摩可不思議な現象はすでに16世紀に於て注目されていた事實であると云う.魔乳の定義に就いては,文献上定説はないが,醫學知識の低かつた16世紀に於ては,新生兒が乳汁を分泌することは,眞に驚くべき不可解な現象であつて,その由來についても常時は當然解明されておらず,從つてHexenmileh,Witchesmilk (Hexen=Zaubern魔法を使うの意)等の文字を使用していることによつても,當時の不思議な現象の一つであつた事が窺われる.此の現象に就いて始めて報告をしたのはMorgagni (1735)である.次いでSteifensand (1845),Guillot,Sehlossberger(1853)が發表し,1875年v.Genserが分泌物の化學的分析竝顯微鏡像に就いて述べ,1900年Cohnは魔乳を形態學的に研究して初乳球を證明し,1902年Knoepfelmacherは母體乳腺の發育を促す刺戟と同一物質が,母體卵巣から分泌されて,胎兒乳腺にも同一刺戟を與えるのであると述べている.Halbanは1905年に,胎兒子宮内生活中に被る胎盤ホルモン作用によるものであると云い,今日のホルモン學説の基礎を暗示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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