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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻1号

1976年01月発行

特集 陣痛誘発

プロスタグランディンによる陣痛誘発

著者: 木下勝之1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.23 - P.28

文献概要

 Prostaglandin (PG)が,1960年Bergströmによつて結晶化されて以来,その多彩な生理作用と,生体内存在の普遍性が確認され,細胞機能調節因子としての位置づけは,ほぼ確立されたと考えられる。生化学的には,PGの生合成,代謝,作用機序などについて,また産科領域では,分娩発来,黄体退縮,排卵,着床,妊娠中毒症などにおけるPGの生理的意義に関して,研究が進められている。これらの研究成果に基づき,PGによる疾患の治療,もしくは,希望する生理作用の促進も,今後可能となる日も近いと思われるが,現状では,PGの臨床応用はその子宮収縮作用による分娩誘発,妊娠中期治療的流産に限られている段階である。分娩誘発の目的でPGが初めて臨床応用されたのは,今からわずか7年前である。その後各国で広範囲な研究が進められ,Anderson1),Embrey2),坂元3),産婦人科PG研究会4)によつて,PGF,E2は安全で,有効な生理的子宮収縮剤であり,その臨床的価値は高いことが認められた。しかし,わが国で,PGFが陣痛誘発剤として市販され,一般に広く使用されはじめてから日が浅いため,まだPGが自家薬籠中のものとは,なつていない面もある。そこで,今回は,人の分娩現象におけるPGの意義に関する最近の知見を紹介し,次いで,PGFの使用法,特徴,注意事項などにつき,具体的に述べることとする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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