文献詳細
特集 陣痛誘発
文献概要
電気刺激(以下ESと略す)により分娩を誘発させようという試みはTheobald (1962)以来各国で試みられたが,臨床的な実用の域に達しなかつた。1962年徳山・藤本は子宮頸部に電流を通ずることにより,陣痛を誘発させ,かつ通電を中止しても子宮収縮が反復する現象,すなわち徳山・藤本の現象を発見し,この現象を応用した人工陣痛器(EDELトーイツK.K.製)を製作し実用化した。しかしその陣痛誘発率は95%であり,また分娩誘導率はES単独で70%であつた。このことは本法に限らず他の分娩誘導方法でもいえるが,分娩誘発に際しては分娩準備状態が完成しておれば分娩誘導に成功し,準備状態が不完全であれば陣痛を発生し得ても分娩に至ることが困難であることを示している。そしてこのようなことは諸家の報告にもしばしば述べられている。そこで分娩誘導法を試みる前に分娩準備状態が完成されていない症例にはむしろこれを完成させてから分娩誘導を行なうべきであると考える。私どもはその後の研究によりESを1日1回施行し,それを連日継続することにより分娩準備状態を促進させることを認め,本法を仮に分娩準備状態促進法と名づけている。
掲載誌情報