薬の臨床
新スライド式妊娠診断薬プレグノセックの臨床使用経験
著者:
桜田信義1
高橋克幸1
水上端1
星合昊1
平野睦男1
鈴木雅洲1
所属機関:
1東北大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.69 - P.71
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1960年Wide& Gemzell1)が羊赤血球を用いてHCGを免疫学的方法により検出して以来,免疫学的妊娠診断試薬の開発とその臨床的応用は,最近では,産婦人科領域の日常診療にひろく用いられるほどに進歩し,かつ普及した。以前は,Friedman反応6)をはじめAscheim—Zondeck2〜5)反応7),Mainini反応8)など時間を要す煩雑な生物学的妊娠反応によつていたため,簡単で短時間に判定できる免疫学的妊娠反応の開発は,産婦人科領域における妊娠関係の診断の確実さおよびスピード化に著しい貢献をなしてきた。現在,本邦で使用されている免疫学的妊娠反応試薬には多数の種類があるが,それらはいずれも臨床的に高い適中率を示している。この種の診断薬の理想としては,正確で手数がかからず,かつ瞬時にして判定のできるようなものが望ましい。この理想に一歩でも近づく目的で,先にオランダ・オルガノン社により開発されたプレグノスチコン・プラノテストと同一の診断原理に基づいて作られたディスポーザブルスライド式妊娠診断薬が開発されたが,今回この妊娠診断薬プレグノセックを検討する機会を得たので,その成績を報告する。