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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻11号

1976年11月発行

文献概要

特集 産婦人科内分泌異常症候群 Ⅱ.臓器別にみた症候群 B.視床下部下垂体性異常に関するもの

視床下部性無月経症候群

著者: 仲野良介1

所属機関: 1神戸大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.891 - P.894

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概念
 女子の性機能が中枢神経系の統禦を受けていることは古くからよく知られた事実であった。つまり,いろいろな精神的要因が,大脳皮質—視床下部—下垂体—卵巣—子宮という一つの系を主軸とする女子性機能の発現に大きな影響を及ぼすことは周知の事実であり,そのもっとも顕著な例を想像妊娠pseudocyesisや戦争無月経Kriegsamenor—rhoeにみることができる。中枢神経系のうちでも,内分泌の中枢が局在する視床下部が特に性機能の発現に大きな影響を及ぼすわけで,視床下部障害に起因する無月経を視床下部性無月経hypo—thalamic amenorrheaとし,病因が複雑多岐にわたるためこれを視床下部性無月経症候群として一括している。ただし,無月経というのはあくまでも症候論上の概念であり,内分泌学的病因論の進歩した今日のレベルからいうとむしろ視床下部性無排卵症hypothalamic anovulation,あるいは三次性性腺機能低下症tertiary hypogonadismといった病因論上の概念を明確に打ち出すことがより望ましいと思われる。
 先にも述べたように,心因性の要因が中枢神経系,特に視床下部をへて無月経の原因となるという意味から視床下部性無月経と心因性無月経psychogenic amenorrheaはしばしば同義語として用いられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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