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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻11号

1976年11月発行

文献概要

特集 産婦人科内分泌異常症候群 Ⅱ.臓器別にみた症候群 E.胎盤機能異常に関するもの

胎盤機能不全症候群

著者: 中山徹也1 矢内原巧1

所属機関: 1昭和大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.925 - P.929

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 胎盤は胎児と母体との間にあり発生学的には胎児の付属物ではあるが,胎児は呼吸作用,物質代謝等生命保持や発育に必要な総ての機能を胎盤に依存している。したがって胎盤の機能不全は胎児の発育,生命をも脅かすこととなる。母体内の胎児の状態を知りこれを管理することは産科臨床上きわめて大切であるがその意味においてもこの胎児の生命線ともいえる胎盤機能を正確にかつ迅速に知り得ることは重要となる。しかし胎盤機能は多岐にわたりその生理機能の総てが明らかとされていない現在,「胎盤機能不全」の定義は,明確でなく臨床的には広く「何らかの原因によって胎児をとりまく環境が障害され,そのために胎児が発育障害をうけ,また生命の危険にさらされる状態」をいい,さらには「これらをもたらす胎盤の機能的器質的異常」をさしている。最近の内分泌学や代謝学の進歩,medical electronicsの導入によってこの胎児および胎盤の生理ならびに病理の解明に新生面を開きつつある。なかでもステロイドホルモン特にエストロゲン分泌に関しては単に胎盤だけではなくその生成には胎児が重要な役割を果している。したがってエストロゲン(estriol)を測定することは胎盤機能のみではなく胎児—胎盤系を一つのunit1,2)としその機能をとらえることとなる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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