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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻2号

1976年02月発行

疾患の病態と治療 感染症--最近の動き

感染症の予防の問題

著者: 高瀬善次郎1

所属機関: 1川崎医科大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.145 - P.148

文献概要

 化学療法剤および化学療法の発達に伴ない,抗生剤にたよるあまり,使用器具の滅菌,手指の消毒などがおろそかになり,そのために感染症を起こすことがしばしばみられる。その良い例が卵管炎,卵管溜膿腫などであつて,これら疾患は化学療法以前と現在でも,その発生頻度は全く同率である。分娩,流産,人工妊娠中絶,卵管通過性の諸検査などの際の不潔な子宮内操作がこれらの原因になつていることは明らかであつて,感染症の予防に際して最も留意しなければならないことは,滅菌と消毒であり,化学療法剤は万能ではないことを改めて認識しなければならない。
 産婦人科領域の感染症の原因菌は,大腸菌を主体としたグラム陰性桿菌群である。しかるに,すでにグラム陰性桿菌に対して耐性の上昇してしまつているTetracycline (TC)やグラム陽性球菌用のOleandomycinまたはこれらの合剤が,安易に感染症の予防に使用されているが,このような抗生剤の投与は,全く抗生剤の使用を行なつていないのにひとしいのである。ところで,産婦人科領域において,化膿性疾患を除いて,どうしても感染症の予防のために抗生剤を使用しなければならない疾患は,婦人科領域では子宮頸癌術後の腎盂腎炎,骨盤死腔炎の予防,および産科領域における前期破水,無症候性細菌尿より起こる腎盂腎炎などである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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