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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻2号

1976年02月発行

原著

新生児のT3,T4,TSH値の出生直後よりの経時的推移について

著者: 中井利昭1 長滝重信2 木村孔右3 坂元正一3 山田律爾1

所属機関: 1獨協医科大学臨床病理 2東京大学医学部第3内科 3東京大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.151 - P.157

文献概要

 ヒト新生児が出生を契機として母親の胎内という安全な環境より外界のstressに適応していく過程は,産科的,小児科的のみならず内分泌学的にみても最も興味あるところである。大人(adult)にとつてはおそらくこのような激動期は死に面するまで遭遇することがないと思われるが,新生児期における適応現象についての知見は未だ乏しい。今日adultではadaptation mechanismに副腎皮質系—髄質系や甲状腺系などが関与していることは周知のことであるが,われわれ(中井,山田1〜4))はすでに副腎髄質—交感神経系についてカテコラミン分泌を検索し,胎児より新生児期の適応反応としてカテコラミン分泌が高まり,血中noradrenaline値が50μg/Lにもなることを明らかにした。また仮死で生まれたり,未熟児で生まれてdistressの続いている新生児では同じくカテコラミン分泌が高いことも証明した。この場合adrenalineよりnoradrenalineの方がより分泌が亢進していて,これは胎児・新生児期のnoradrenaline dominantな副腎髄質やZuckerkandl器官という特殊なカテコラミソ分泌器官によると推定した。今回は新生児期の甲状腺系について検索を試みた。1951年Danawski5)は初めて出生後数時間たつとPBI値が上昇することを報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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