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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻3号

1976年03月発行

文献概要

トピックス

更年期以後のestrogen投与と子宮内膜癌の発生

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.240 - P.240

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 最近,子宮内膜癌が増加してきているといわれている。その原因の一つに,近年,更年期障害や老化防止に結合型estrogenが広く用いられてきており,それとの関連性も検討されてきている。
 Smithら1)は1960〜1972年の間に48歳以上で子宮内膜掻把または子宮摘出を行なつて,子宮内膜の腺癌と診断された317例の患者について,これと同数の他の悪性腫瘍,すなわち子宮頸癌206例,卵巣癌88例,外陰癌23例を対照として比較検討したが,子宮内膜癌患者では以前にestrogen治療をうけたことのある者152例に比して,対照はわずか54例と,estrogen治療をうけた者には子宮内膜癌発生の危険率はうけない者に比して4.5倍も高いと報告している。また,これらの患者のうち,肥満度,高血圧,糖尿病,出産回数,診断時の年齢,診断した年などの因子で比較すると,肥満婦人や高血圧の婦人には,estrogenを投与しても子宮内膜癌を起こす危険は少いとしている。特に肥満婦人に少い理由として,投与されたestrogenが脂肪組織に蓄積され血中では稀釈されて作用するためかとも考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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