icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科30巻7号

1976年07月発行

特集 実地臨床における胎児胎盤機能検査法とその判定基準

胎児成熟度検査法としての羊水中レシチン測定について

著者: 佐藤和雄1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.555 - P.562

文献概要

 胎児の成熟度を知ることは,産科医にとつては必須のことで,たとえば血液型不適合妊娠や糖尿病合併妊娠では児の娩出時期決定に不可欠の情報となる。胎児の成熟とは,その成長と発育すなわち形態の増大と機能の発達を意味するもので,それゆえ成熟度判定には胎児の大きさと機能の両面を知る方法が用いられるべきである。胎児についての情報を得るために従来より子宮の大きさ,すなわち子宮底長,腹囲などが胎児の大きさを知る手段として用いられてきた。最近,羊水穿刺(amniocentesis)が胎児の直接の情報を得る方法として行なわれている。これは血液型不適合妊娠の際の,児罹患の重症度の判定ならびに管理への有用性を認めたLileyの発表以来,広く普及するようになつた。胎児の成熟のうちで肺の成熟は最も重要なものの一つで,新生児として胎外生活をするためには不可欠なものである。もしこの成熟が遅れていると呼吸困難が起こり,いわゆる呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome,RDS)が起こり死亡する。これは産科医にとつて重要な問題でRDSを治療する方法が必ずしもない現在胎外生活可能かどうかは肺の成熟が一つの指標となる。本稿では胎児成熟度診断の一つとして胎児肺の成熟度の判定基準となる羊水中のレシチンについて述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら