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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科31巻10号

1977年10月発行

文献概要

トピックス

妊娠維持とhCGの免疫抑制効果

著者: 田部井徹1 加来隆一1

所属機関: 1国立病院医療センター・産婦人科

ページ範囲:P.851 - P.851

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 妊娠時hCGは,10〜12週をpeakとし,その後減少する特異な分泌像を示すが,その生理作用や作用機序に関しては現在いまだ不明な点が多く,とくに妊娠維持の機構にどのように関与しているか確定的な結論は出ていない。少なくともin vitroにおいて,hCGは黄体の賦活作用1)や胎盤の性ステロイドホルモン生合成・代謝のautoregulation2)などに関与しており,その点で妊娠維持に役立っている可能性が考えられる。また,胎児が移植免疫学的に異物であることから,hCGが母体の拒絶機構を抑制することにより,妊娠が維持されているという考え方もある。
 とくに1960年,Nowellが,従来から,もはやこれ以上分裂しない終末細胞とみなされていた小リンパ球にin vitroでPhytohemagglutinin(PHA)を作用させると大型の幼若細胞に変化し,分裂をはじめることを発見した。このことが端緒となって,各種の細胞性免疫の検査法が開発され,種々な分野での妊娠に対する免疫学的な研究が盛んになった。Purtiloら3)は,妊娠母体血中のリンパ球のPHAに対する反応性が非妊時に比べ著明に低下することを認め,この事実より母体血清中に何らかの免疫抑制因子が存在すると考えて,この因子が妊娠維持機構と何らかの関連性があることを示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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