文献詳細
特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅲ.適応異常とその周辺疾患
文献概要
肝臓はその巨大な容量と複雑な機能により,体内における生産工場と浄水場の役割を余裕をもって果たしているように思われる。しかし妊娠時における負担の増大は,肝機能を最大限に近く発揮させて,ようやくバランスを保たせているのではなかろうか。幾つかの検査法で,その値は正常の上限に近いか,あるいは時にそれを僅かに越えていることからもうかがえる。ホルモン漬とも例えられる多量のホルモン分泌,母児の代謝に加えて,貧血,栄養障害,過労,中毒,感染などにより,肝機能—代謝の平衡は破れて,急激な崩壊に至る可能性が秘められている。
掲載誌情報