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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科31巻11号

1977年11月発行

文献概要

ひとくちメモ

妊婦と航空機

著者: 相馬広明1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1040 - P.1040

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 最近の航空機のハイジャック事件で,乗客の中に妊婦がおり,解放後,そのショックのため流産をしたという婦人がいた。当然妊婦は航空機を利用する機会が多くなり,最近では機内での出産例も報ぜられている。またこの頃ではスチュワーデスは結婚をしても塔乗勤務が可能となってきているので,スチュワーデス自身の妊娠中の勤務もあるわけである。いったい妊婦では航空機を利用しての旅行はどの時期まで可能なのであろうか。これにはすでに国際民間航空機構のとりきめにより,塔乗制限が行なわれている。妊婦は妊娠9ヵ月から塔乗が制限される。それ以後の塔乗には産科医の証明がいる。乳児は出生14日以後から塔乗可能となる。通常,ジェット旅客機では,高度6,400mまでは機内圧は一気圧であり,10,000m以上で2,000m機内圧となる。気圧は580mHg,酸素は地上の約80%位となる。従って妊婦や胎児,乳児では機内での酸素不足による影響はないとみなされる。
 Scholten (1976)はスチュワーデス妊婦についての塔乗勤務について報じている。一般に乗客や乗組員におけるhypoxia症状は,10,000ft以上の高度となると著しくたかまるという。胎児は成人より比較的hypoxiaに対して強いが,気圧調節のない航空機への妊婦の塔乗は,酸素供給設備がなければ,さけるべきである。とくに妊娠合併症(中毒症,貧血,血液不適合)などを有する妊娠は,塔乗はしない方がよい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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