icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科31巻2号

1977年02月発行

文献概要

指標

胎盤の腫瘍—絨毛膜血管腫(CHORANGIOMA)とその臨床的意義

著者: 相馬広明1 吉田啓治1 高山雅臣1 多田正毅1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.103 - P.111

文献購入ページに移動
 胎盤に原発する腫瘍としては,悪性腫瘍としての絨毛上皮腫がある。その他,胎盤には奇形腫(Te—ratoma)が発生することもあるし(Joseph,Fox),また良性の腫瘍としては,絨毛膜血管腫(Chorio—angioma,Hemangioma,Chorangioma)がある。この血管腫の名称については多々あるが,これらは胎盤を注意して観察しなければ,これをみのがすことがあるし,また発見された腫瘍の組織学的診断からも古くはこれを線維腫や肉腫や,内皮腫などと誤認されたこともある。また絨毛間血栓とまちがえることがよくあるように,その腫瘍の大きさは大小さまざまである。ただ本腫瘍がはたして真の腫瘍であるのか,それとも過誤腫(Hamartoma)なのかという組織派生についての問題があるが,しかしその発生機序はまだ不明といってよい。ただこの腫瘍が胎盤に存在するときは,臨床的に羊水過多を始め,早産,死産,妊娠中毒症,胎児貧血,奇形など多種の症状を合併するといわれ,その点についても産科医は本腫瘍のような胎盤血管腫の存在を覚えておく必要があろう。すでに絨毛膜血管腫についての総合的な解説は2,3なされているが(Fox,Benirschke,Wallenburg),本邦ではまれに1例報告が散見するにすぎない(夫馬,秋山,Linら)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?