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Vaginal adenosisとDESの臨床病理
著者: 西谷巌1 菊地徳博1
所属機関: 1北海道大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.379 - P.386
文献購入ページに移動 Vaginal adenosis (腟腺症)およびVaginal adenocarcinoma (腟腺癌)が,まったく腺構造を欠く腟上皮からprimaryに発生することはないとされていたが,最近,Herbstら1),Grcenwald ら2),Nissenら3),Tsukadaら4),によって,相ついで多数の症例が報告され,しかもいずれも10歳代の若い女性で占められているうえ,さらに興味の深いことは,これらの症例の母親が,妊娠中に合成卵胞ホルモンの一つであるDiethylstilbes—trol (DESと略す)を流産の予防などの目的で使用していたことである。Vaginal adenosisの組織,細胞の形態は,子宮の頸管腺上皮および内膜腺上皮のそれによく類似していることから,Muller氏管にその起源を求めることができるばかりでなく,Adenocarcinomaの組織構造は,Mesonephro—maと類似のところが多く,Clear cell carcinomaに属することから,両者の間にはCarcinogenesisの面から多くの興味をひくばかりでなく,腟扁平上皮細胞の豊富なGlycogen蓄積能は,Urogenital sinusの細胞にも求めることができるので,Tera—togenesisの面からも内分泌環境をかき乱されることによって,正確に制御できなくなる事実を端的に示しているように思われる。
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