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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科31巻5号

1977年05月発行

文献概要

トピックス

他人の頸管粘液を用いて妊娠に成功した不妊例

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.419 - P.419

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 不妊症の原因にはいろいろの因子があげられているが,頸管粘液の分泌不全も不妊症の原因の一つである。一般には排卵時には卵胞より分泌されるestrogenにより頸管粘液の分泌が促進され,この時に射精された精子の子宮内上昇に関与すると考えられている。しかし血中estrogenも高く,排卵直前であるにもかかわらず何らかの原因により頸管粘液のみの分泌が障害され,そのために妊娠しない例も少なくない。また自然排卵のみでなく外的に比較的多量のestrogenを投与しても頸管粘液の分泌が亢進しないいわゆる粘液分泌の障害されている例も少なくない。このようなときには主として人工受精など直接子宮腔内に精液を挿入することもある。しかしこの際に頸管粘液の分泌の良好な人の粘液を集めておいて,これを用いると効果的となると考えられよう。
 この点につきCheck1)らは性病に罹患しておらず,少なくとも72時間前に性交をしていないボランティアから頸管粘液を集め,これを凍結保存して頸管粘液分泌障害者に用いて妊娠に成功した報告をしている。すなわち,患者は,25歳で4年前に子宮腟部ビランのため子宮頸管部の円垂切除術をうけた。その後妊娠を試みたが妊娠しなかった。基礎体温は比較的良好であるが,排卵日に頸管粘液の増量はみられず,精液は全く正常で月経周期5〜13日までpre—marinを投与したが頸管粘液の分泌亢進はみられなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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