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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科31巻8号

1977年08月発行

文献概要

疾患の病態と治療 再発と再燃

卵巣悪性腫瘍

著者: 吉田吉信1 岡村均2

所属機関: 1滋賀医科大学医学部産科学婦人科学教室 2京都大学医学部婦人科学産科学教室

ページ範囲:P.691 - P.695

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Ⅰ.卵巣悪性腫瘍の治療とその成績
 婦人科学領域における悪性腫瘍のうち,代表的な子宮頸癌,絨毛上皮腫および卵巣悪性腫瘍の三者における腫瘍進展の方式には,それぞれ大きな相違点がある。もちろん腫瘍原発病巣からの連続的な破壊的進展は三者共通して認められるが,その転移の様式に特徴があり,子宮頸癌は後腹膜の旁子宮組織を,リンパ節転移の連なりの形で骨盤壁へ進み,骨盤血管に沿うリンパ節群を犯し,漸次上行する形をとることが最も多く,絨毛上皮腫は,腫瘍細胞のtrophoblastとしての本来の特性として,血液に親和性を有し,容易に血管を破壊して局所に血腫を作る一面,血管中に侵入した腫瘍細胞は,血行性に遠く肺転移を最初に招来するものである。卵巣悪性腫瘍は,当然,リンパ行性にも血行性にも転移を生じうるが,一般的には腫瘍被膜の穿破によって,比較的早期に腹腔内播種(dissemination)をきたし,骨盤腹膜,腸間膜,大網へと,きわめて広範な転移をきたすのがその特徴である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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