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新しい視点をさぐる Aging
Agingと婦人の心身症
著者: 長谷川直義1
所属機関: 1秋田大学医学部産婦人科学
ページ範囲:P.23 - P.26
文献購入ページに移動 女性は男性と異なり,子を宿し,産み,育てるという特殊な可能性に向かってかたちづくられていく。そして女性は性毛発生,乳房肥大,初潮発来など刻々にそのことを予感しつつ成熟へ向かうものである。初老期に相当する更年期は容姿の衰えに老いの気配を感じ,心身両面で動揺と混乱がおこりやすく,老年期は思春期と同様に,老化していく身体的環境の変動にも,心理的環境の変化にも不適応をきたしやすい。Agingは,単なる生物学的現象ではなく,それに伴っておこるさまざまな身体異常は心理的・社会的要因と深くかかわりをもつ全人的な体験の結晶としてとらえることができる。しかるに従来の医学は,患者の訴える症状とはさほど関係のない身体変化に目を向けて,その患者がおかれている心理的状況はまったく無視し,あまり意味のない身体的治療のみを行なってきた傾向がある。特に身体病であると患者はつよく思いこんでいるが,実は心身相関の病いである心身症においては,このような扱いでは治療効果があがらないのも当然であろう。Agingに伴う疾病の医療は,疾病をもつ人間のライフ・サイクルからみた全人的な医療でなければならない。そこで,今回,Agingと婦人の心身症を述べるにあたって,筆者は産婦人科外来患者のうちで最も頻度の高い婦人の不定愁訴症状をとりあげ,ライフ・サイクルの上から解説することにする。
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