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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻10号

1978年10月発行

原著

卵巣腫瘍患者血清中の癌胎児性抗原(CEA)

著者: 滝沢憲1 川名尚1 白水健士1 菅生元康1 川端正清1 坂元正一1 泉陸一2 藤野雅之3

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室 2富山医科薬科大学産科婦人科学教室 3東京大学医学部第一内科学教室

ページ範囲:P.767 - P.771

文献概要

 悪性卵巣腫瘍では,腫瘍が大きくなり症状が発現してから,はじめて診断されることが多く,しかもそのような場合は,Ⅱ期以上の進行癌でcurable operationは不可能であるために,予後不良となる症例が多い。このような状況において,もし悪性卵巣腫瘍に腫瘍特異的な物質または抗原が存在し,それが悪性卵巣腫瘍患者の血清中に検出できれば,早期診断だけではなく術後の患者管理においても極めて有益であろう。しかし,現在までのところ,多くの研究がなされているにもかかわらず成功をみていない3)
 さて,Goldら11)により,結腸癌から抽出された癌胎児性蛋白の一種であるCarcinoembryonic antigen (CEA)は,血清中に出現することが判明してきたので,種々の悪性腫瘍患者について測定され,その臨床的意義が検討8,9,14,25)されてきた。それらのうち,結腸癌をはじめとする消化器癌13〜15,24)では,その消長が癌の進行度を反映するとされており,臨床に応用されるようになっている。婦人科悪性腫瘍についても,子宮癌,卵巣癌などで血清CEA値が測定されている。たとえば子宮頸癌患者の血清中のCEA陽性率については,Disaia P.J.ら10)は,5.5%(0期)から100%(Ⅳ期)と進行期に一致して増加すると報告しているが,他の著者も同様な報告をしているものが多い4,5,7,19)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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