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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻11号

1978年11月発行

特集 手術とFunctional Anatomy

Ⅳ.子宮の手術

腟上部切断術と単純子宮全摘術

著者: 中山徹也1

所属機関: 1昭和大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.837 - P.842

文献概要

Ⅰ.腟上部切断術と単純全摘術との相異点
 1.手術術式の相異(付表,図1,2)
 腟上部切断術は子宮頸部は残して体部のみを摘除する術式であり,単純全摘術は子宮を全部すなわち体部も頸部もすべて摘除する術式であることは申すまでもない。手術手技としては,腟上部切断術では子宮動脈の上行枝を切断するだけでよいが,単純全摘術では子宮支帯及び旁腟結合織を離断するために,その中を走っている動静脈とくに子宮動脈の下行枝をも切断する必要がある点が大きく異なる。このために後者では前者と異なり,1)子宮頸部前面に隣接する膀胱を傷つけないようにしながら腟に至るまで剥離する必要があること,2)尿管に注意すること,すなわち子宮体部と頸部とを境とする内子宮口の高さで,子宮側壁にごく近い部分で子宮動脈と交叉し,そこから膀胱に至るまでは子宮頸部の前面の側方を膀胱子宮靱帯(子宮支帯前部)の前葉と後葉とに密にはさまれた形で走っている尿管を副損傷しないように十分に注意する必要があること,3)子宮動脈の下行枝を含む基靱帯・旁腟結合織の切断に当たっては集束結紮が便利であるが,結紮糸がゆるんで滑脱し易い欠点があるから確実な集束結紮を行なう必要があること,4)子宮を腟から離断する必要があるため,腟内細菌の感染が避け難く,したがって感染に対する考慮が術式上も必要なこと,などが術式上のポイントとして加わる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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