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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻12号

1978年12月発行

指標

B型肝炎ウィールスの垂直感染

著者: 工藤純孝1 稲葉憲之1

所属機関: 1千葉大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.931 - P.940

文献概要

 1964年Blumberg1)がオーストラリア原住民の血清中に,頻回輸血を受けた血友病患者血清と寒天ゲル内沈降反応を生ずる物質を偶然に発見し,この新しい抗原をオーストラリア抗原と名づけた。さらに1967年Krugman2)らの感染実験により,肝炎にはMS−1とMS−2の2つのtypeがあり,おのおのA型肝炎(HA),B型肝炎(HB)と区別された。オーストラリア抗原はこのB型肝炎に相当し,後述のごとくウィールスであることが同定された。近年にいたり,これら両者間の相異が明らかにされ,鈴木ら3)は表1のごとく両者の性状を比較している。この表より明らかなごとく,A型肝炎ウィールス(HAV)の感染経路は主として糞便,経口でありB型肝炎ウィールス(HBV)のそれは血液であり,非経口あるいは経口感染である。HBVについては輸血,血液製剤,人工透析,腎移植等の機会の感染が以前より指摘されていたが,最近では母児間感染の問題が注目されてきている。
 ここでは,B型肝炎について概説すると共に,妊婦の汚染状況,児への感染の問題(垂直感染),夫への感染の問題(水平感染),産婦人科領域における医療従事者の感染予防の心得,B型肝炎妊産婦の取り扱い,垂直感染の予防等の問題について述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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