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新しい視点をさぐる 産婦人科と東洋医学
中国における医療および医学の現状—特に産婦人科医としての見聞から
著者: 品川信良1
所属機関: 1弘前大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.986 - P.990
文献購入ページに移動 中華人民共和国(以下"中国")の医療や医学について語ることは,非常にむずかしい。恐らくは,アメリカや西ヨーロッパの医療や医学について語るよりもむずかしい。というのは,1)私たち日本の医師の大半の者にとっては,現代の中国の医療や医学には,かなり異質な面が多い。また,2)いろいろもっと調べたいことがあっても,アメリカや西ヨーロッパにおけるように,私たちの滞在期間を年単位にしたり,行きたいところをどんどん訪問したり,旅行したりはできない。さらに,3)国全体や省全体の衛生統計,医療機関や研究機関のようなものの一覧表,研究者名簿などの入手は,少なくとも私たち外国人には不可能である。それに加えて,4)あの長い歴史を有する,あの広大な国土のことである。当の中国の医師や医学者にも,その全貌の把握は困難であるらしい。そこへもってきて,5)国の政策などが変わりつつある現状であるから,何を書いても所詮,群盲が象を評するどころか,九牛の一毛を紹介する程度のことにしかならないのではないか,とおそれる。ちなみに,私が新中国を訪れて医療事情などを視察したのは,1976年10月,あたかも「四人組追放」が始まったころに,北京・ハルビン・沈汨(昔の瀋陽,さらには奉天),南京,上海の5都市とその近郊においてであった。
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