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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻2号

1978年02月発行

文献概要

指標

切迫早産の予防および治療対策—新しい子宮収縮抑制剤の検討

著者: 千村哲朗1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科教室

ページ範囲:P.89 - P.97

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 未熟児出生が周産期死亡および周産期障害の大きな要因であることはいうまでもないが,近年妊娠・分娩管理の進歩は母体死亡率の低下傾向をもたらしているとはいえ,周産期死亡率は依然として高い。未熟児出生の社会的環境的背景として多くの統計報告がいくつかの因子をあげているが,これらの問題は公衆衛生学や社会学的見地から今後解決されなければならない。また最近の極小未熟児の保育管理法の進歩は,CPAP療法を始めとして多くの新しい治療法の導入をもたらした。その結果,極小未熟児の生存率を高めているとはいえ,intact survivalの問題を考慮するとき,周産期医学における最大目標の一つは,早産未熟児出生の防止にあるといえる。
 未熟児出生率は8%前後であるが,周産期死亡の75%前後が未熟性に原因するという。したがって,未熟児出生率を数%低下させるだけでも周産期死亡は高率な低下をもたらすという。こうした面からも,妊婦管理における早産未熟児出産の予防とともに早産治療の重要性はとくに要求されるが,一方,早産治療の困難さはその原因が明確でない場合が多く,また進行度が異なる点にあるといえる。近年,早産治療における子宮収縮抑制を目的とした新しい薬物療法が登場し,すぐれた治療成績が報告されつつあるが,ここではこうした子宮収縮抑制物質について,われわれの成績を加えながら述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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