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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻5号

1978年05月発行

文献概要

トピックス

ヒト胎盤におけるLH放出因子の意義

著者: 田部井徹1

所属機関: 1国立病院医療センター・産婦人科

ページ範囲:P.382 - P.382

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 視床下部から分泌するLH放出因子すなわちLH releasing hormone(LH-RH)は,下垂体からのゴナドトロピン分泌を支配し,卵巣における排卵,性ステロイドホルモンの生合成,代謝などを調節している。近年,LHのradioimmunoassayが進歩し,さらにLH-RHの化学構造が決定され,その合成も可能となるに及んで,視床下部—下垂体—性腺系の調節機構の詳細が次第に解明されてきた。一方,下垂体性LH作用を有する絨毛性ゴナドトロピン(HCG)についても,胎盤における産生のメカニズムや作用機序に関する数多くの研究が行なわれている。HCGは,ヒト胎盤組織で生成される糖蛋白ホルモンの一種であり,妊娠初期母体尿中に多量に分泌されているが,その生理作用,調節機序についていまだ不明な点が多い。ヒト胎盤は,糖蛋白ホルモンであるHCGと,種々の性ステロイドホルモンと二種類の組成の異なったホルモンを分泌しているという特徴があるが,このことは,両者の間に何らかの関連性が存在していることを示唆している。事実,HCGは,胎盤組織のaromatase1)やhydroxylase2)などの性ステロイド代謝酵素活性を促進する作用があるといわれている。すなわち,胎盤における性ステロイドホルモンの代謝は胎盤自身が分泌するHCGによるauto regula—tionの支配を受けているらしい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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