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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科32巻6号

1978年06月発行

文献概要

トピックス

性交と膀胱炎

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産婦人科学

ページ範囲:P.435 - P.435

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 婦人の急性尿路感染症と性交との関係について古くより「新婚膀胱炎honeymoon cystitis」とか「妊娠の膀胱炎pyelitis of pregnancy」としてよく知られており,何らかの関連性が指摘されていた。これはとくに婦人では尿道が短いために,性交による外尿道口からの上行性感染のほかに,尿道に対しても外傷が加わることに由来するものと考えられる。とくに既婚婦人の尿路感染症では,くりかえして起こることがあり,これを防ぐのにかなり困難な例に遭遇することもある。
 Stamey1)によれば婦人の腟前庭と尿道には常に細菌が存在しているために,膀胱は尿路感染をひき起こす細菌の貯蔵庫になりやすいとのべている。とくにBranら2)は既往に尿路感染症をくりかえしたことのない婦人で尿道の軽度の刺激による膀胱内尿の細菌を調べ,刺激以前では6.2%に細菌をみたが,刺激後は37%に細菌を検出し,この細菌は外尿道口に存在する細菌と同様であることを報告している。このことは性交により腟前庭部に存在していた細菌が尿道を通り膀胱内に侵入することを示唆している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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