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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科33巻11号

1979年11月発行

文献概要

トピックス

Ovarian Remnant Syndrome (卵巣遺残症候群)

著者: 田部井徹1

所属機関: 1国立病院医療センター,産婦人科

ページ範囲:P.890 - P.890

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 婦人科手術において,成熟婦人の両側卵巣を摘除せざるをえないのは,内性器の悪性腫瘍に対する根治手術あるいは乳癌などのように卵巣ホルモン依存性の強い悪性腫瘍に対する去勢手術などの場合である。また,卵巣良性腫瘍,子宮筋腫あるいは子宮内膜症などの疾患でも,ときに両側卵巣摘除を施行することがある。
 両側卵巣摘除の術後障害としては,主として内分泌系のいわゆる卵巣欠落症状が現われる。他にまれな障害としては,1970年にShemwellとWeed1)が提唱した,Ovarian Remnant Syndrome (卵巣遺残症候群)が知られている。本症候群の患者は,前回の手術において両側卵巣摘除を施行したにもかかわらず,子宮内膜症や骨盤内癒着のため卵巣除去が不完全で,ダグラス窩などに遺残した卵巣組織の一部が嚢腫化し,骨盤内腫瘤として触知され,持続的な下腹部痛を訴えることが多い。ShemwellとWeedは典型的な本症候群の10例を報告したが,全例とも下腹部痛が前回手術後5年以内に出現し,骨盤内に嚢胞性腫瘤が認められた。治療としてX線の深部照射を施行し,多くの症例で症状が改善されたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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