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部分奇胎の性状
著者: 相馬広明1 又吉国雄1 向田利一1 菊池献1 三枝裕1 田渕保巳1 舟山達1 斎藤俊樹1 加田日出美1 清川尚1 高山雅臣1 吉田啓治1
所属機関: 1東京医科大学産婦人科教室
ページ範囲:P.897 - P.906
文献購入ページに移動日産婦学会絨毛性腫瘍委員会での定義によれば,部分奇胎(partial mole)は絨毛の一部のみが嚢腫化したものをいい,嚢腫がただ1個しかみられぬような場合でも,この中に入れることとするとある。ただし胞状奇胎の診断は肉眼的レベルでの絨毛嚢胞形成によってなされるのであり,絨毛細胞の増殖は問わない。
また組織学的にだけ嚢胞形成の認められる場合は,顕微鏡的奇胎(microscopic mole)とよび区別する。また肉眼的に絨毛がある程度腫大しているが,棍棒状や小嚢胞形成にすぎない場合には,類奇胎(transitional mole)とよび,区別する。この定義は前述したようにあくまでも肉眼的レベルでの判定であるが,全胞状奇胎との鑑別は容易であっても,部分奇胎と類奇胎との区別,あるいは水腫化流産(hydropic abortion)とよぶ場合との鑑別は,そのcriteriaははなはだあいまいであって,臨床上迷うものである。そのため絨毛嚢胞化を認めるものをすべて部分奇胎とすれば,奇胎の発生頻度もふえることが考えられる。そのため部分奇胎についてのいろいろの角度からの検討が必要であり,これが全奇胎のような将来絨腫化への進展の可能性を秘めるものなのか,それとも自然流産と同様の性状を示すものなのか,詳しいデーターがほしいと思う。
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