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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科33巻2号

1979年02月発行

薬の臨床

競合的ラテックス凝集阻止反応を利用した,尿中エストリオールによる妊婦全例スクリーニング法について

著者: 工藤純孝1 小堀恒雄1 武永博1 藪田光紀1 高見沢裕吉1

所属機関: 1干葉大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.149 - P.155

文献概要

 われわれ産科医が妊婦を管理する際には,母—子宮—胎盤—胎児という大きなunitとしての総括的観察と,それぞれの個々のfactorの個別的観察との両面的観察が必要となる。この分野における研究が遅れていたために,産科学に多分に経験的要素が重要視され,分娩機転そのものが,ほかの分野にくらべて科学的解析がおくれた。近年に至り,分娩機転を中心として予定日周辺の生理・生化学的,物理学的研究が盛んに行なわれるようになるに至り,分娩機序の解明の兆しがあらわれた(表1)。これら検査法が一元的でないことはまた,妊娠,分娩という現象が,複雑な因子の集合であり,多方面からの検討を必要とする問題であることを示唆している。これら検査法は手技的に困難さをともなったり,熟練さを要求されるために,一般医家まで普及するには至らなかった。しかし胎児・胎盤機能検査として,その機序が明らかとなった尿中エストリオール測定については,近年,免疫学的手技1〜4)の導入により検査法が簡便化され,一般医家にもかなり普及するに至った。
 尿中エストリオール測定の意義は,胎児での16α—hy—droxylation,胎盤での芳香化,胎児—胎盤—母体間の血液循環動態等の因子の動向を推測することにある。すなわち,母体—胎盤—胎児という大きなunitを総括的に判断するに有用な検査法である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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