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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科33巻5号

1979年05月発行

トピックス

哺乳動物の性フェロモン(Pheromone)

著者: 田部井徹1

所属機関: 1国立病院医療センター産婦人科

ページ範囲:P.386 - P.386

文献概要

 フェロモンとは,ホルモンが生体内に分泌され同一個体内で著しい生理作用を示すのに対して,生体外に分泌され同一種族の他の個体に対して特異な行動を引き起こす物質を総称する。フェロモンの語源はギリシャ語のPerein (運ぶ)とhorman(刺激する)の結合語に由来し,配偶行動に関与する異性間の性フェロモン,集団形成に関与する集合フェロモン,他からの危険を知らせる警報フェロモンなどがある。現在までフェロモンに関する研究は主として昆虫で多くなされ,種々の化学物質が分離同定されているが,脊椎動物については昆虫のものほど進んでいない。
 多数の昆虫で性フェロモンや集合フェロモンによる嗅覚が確認されている。一方,脊椎動物におけるフェロモンなどの特定物質に対する嗅覚は千差万別で,イヌ,ネコ,ウサギ,キツネなどの哺乳動物は鋭い嗅覚を有しマクロスマチック(macrosma—tic)と呼ばれ,クジラやイルカの嗅覚は鈍くミクロスマチック(micros—matic)と呼ばれている。魚類の嗅覚はかなり発達していて前者に属し,両生類や爬虫類は後者に属すと考えられている。また,霊長類やヒトは後者または両者の中間である。性フェロモンについて哺乳動物においても若干知られているが1),嗅覚が発達したマクロスマチックな動物についての研究が中心である。マタタビラクトンは,ネコの性フェロモンとして単離され数ミリグラムで,いわゆるまたたび反応を起こす。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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