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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科33巻8号

1979年08月発行

文献概要

トピックス

閉経以後のestrogen投与は心疾患危険因子を減少させる

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.602 - P.602

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 経口的に投与可能なestrogen (pre—marinなど)が出現して以来,更年期障害や老化防止の対策などに多く用いられてきている。1970年代のアメリカの報告によれば,閉経以後のアメリカの婦人約3,000万人のうち,3分の1はこれらのestrogenを用いていると考えられている1,2)。しかし,これらの婦人にestrogenを長期間投与すると,子宮内膜癌の発生の危険性が増大するともいわれ3,4),この使用には注意しなければならない点である。
 このように老化防止と発癌との相反した作用があるが,estrogenは若年性の卵巣摘除例に,心障害の予防にも用いられているごとく,心血管系にも何らかの作用があるはずである。とくに閉経以後の婦人の死因に心血管系の疾患が大きな頻度を占めており,これらの婦人にestrogenを長期間投与したときのcholesterolや血圧などに及ぼす影響を知ることは興味あることである。しかし,閉経以後の婦人で老化防止などにest—rogenを用いている者と用いていない者との間には,社会・経済的な問題や,身長・体重,医学的関心度など,異なるために必ずしも容易に結論を出しえない欠点があった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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