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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科34巻1号

1980年01月発行

Modern Therapy 産科劇症の治療

産科ショック

著者: 竹内正七1 高橋威1 林伸行1

所属機関: 1新潟大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.51 - P.54

文献概要

Ⅰ.産科ショックの特徴
 産科ショックとは,一般に妊娠を基盤とした妊娠・分娩・産褥の各期に,妊産褥婦に発生するショックのことである。妊産婦死亡にむすびつく重篤なショックの直接原因としては,出血,感染症,羊水栓塞などがあげられ,これらの要因として妊娠中毒症,いわゆる難産,感染の三者が重要視されている。
 妊産婦がショックに陥り易い理由として, 1)妊娠子宮によって下大静脈などが圧迫されるため,心臓への還血量が少なくなり易く,そのため重要臓器の血行障害を起こしやすい。 2)妊婦の骨盤内の静脈系は怒張,うっ滞しているため,羊水栓塞や空気栓塞が起こりやすい。 3)妊娠時(ことに末期)には,血液凝固系の亢進・線溶系の抑制状態にあるためDICを起こし易い。これは流血中に絨毛細胞が流れていることも関係していると考えられる。 4)妊娠は全身性シュワルツマン反応(generali—zed Shwartzman Reaction)の準備状態と考えられる。 5)骨盤内や尿路系に感染を起こしやすい。 6)骨盤内や子宮・腟などは血流が豊富になっており,ひとたび出血すると大量出血になりやすい。 などがあげられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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