症例
子宮体部原発性mesonephric carcinomaの細胞診と組織診
著者:
松永功1
井庭信幸1
岩成治1
梶谷直弘1
北尾学1
所属機関:
1島根医科大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.75 - P.79
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1903年Meyer1)により,子宮頸部の中腎腫mesone—phromaが報告されて以来,その名称,組織発生論などに関する論議がなされ,mesonephric carcinomaに関して,いまだ統一見解がないのが現状である。1939年Schiller2)は,胎生期の中腎のglomeruloid structureと類似し,その構成細胞にhobnail cellを有する卵巣腫瘍を報告した。これは一般的にmesonephromaのSchil—ler typeと呼ばれている。さらにSaphirら3)は,1944年に腎のhypernephromaに類似するホルモン活性を示さない2例の卵巣腫瘍をadenocarcinoma clear cells(hypernephroid)として報告した。clear cell patternを示し,hobnail cellを認めるものをmesonephromaのSaphir typeとされている。またNovakら4)は,Schiller typeとSaphir typeとには共存する組織像があり,中腎・後腎性起源説を唱えmeso-metanephric rest tumorと報告した。一方Teilum5,6)はSchiller typeとSaphir typeは別の腫瘍とし,germ cell originを提唱してendodermal sinus tumorと呼んでいる。